掃き出し法 計算ツール(途中式つき)

線形代数で用いられる掃き出し法(ガウス・ジョルダン法)を、行基本変形の1手ごとに表示する無料ツールです。 計算はすべて有理数のまま行うため、係数は小数に丸めず分数のまま正確に表示されます。 行列のランク(rank)の判定に加え、連立一次方程式や逆行列も求められます (入力のしかたは下で説明しています)。

各マスには整数・小数・分数が入力できます(例:3、-1.5、2/3)。

このツールでできること

掃き出し法(ガウス・ジョルダン法)の計算を、 行基本変形の1手ごとに行列を表示しながら進めます。 計算はすべて有理数のまま行うため、1/3 のような値も丸め誤差なしで扱えます。

掃き出し法とは

行列に行基本変形だけを繰り返し行い、 左上から順に「1が1つ、その列の他は全部0」という形を作っていく手法です。 連立一次方程式の解、行列のランク、逆行列を求めるのに使われます。

行基本変形の3種類

変形内容表示例
行の入れ替え2つの行を交換するR1 ↔ R2
行の定数倍ある行を0でない数で割る(掛ける)R1 ÷ 2
行の加減ある行に、別の行の定数倍を足す(引く)R2 ← R2 - 3 × R1

この3つ以外の操作をしてはいけません。 とくに列を入れ替える(列基本変形)のは別物です。 ランクは変わりませんが、連立一次方程式としての解が変わってしまいます。

ガウスの消去法との違い

ガウスの消去法ガウス・ジョルダン法
どこまで消すかピボットより下だけピボットの上下とも
到達する形階段行列簡約階段行列(既約行階段形)
解の求め方後退代入が必要そのまま解が読める

このツールはガウス・ジョルダン法です。 ピボットの上側も0にするため、最後の行列をそのまま読めば解が分かります。

連立一次方程式を解くには

係数と右辺を並べた拡大係数行列を入力します。 未知数が3つなら「3行4列」です。

 x +  y +  z =  6
      2y + 5z = -4
2x + 5y -  z = 27

これは3行4列で、次のように入力します。

1  1   1   6
0  2   5  -4
2  5  -1  27

掃き出すと次の形になります。

1  0  0   5
0  1  0   3
0  0  1  -2

左が単位行列になったので、右の列がそのまま解です。 x = 5、y = 3、z = -2 と読めます。

逆行列を求めるには

求めたい行列 A の右に単位行列を並べて入力します。 2次の正方行列なら「2行4列」です。

A = [[2, 1], [1, 1]] の逆行列を求めるなら、2行4列でこう入力します。

2  1  1  0
1  1  0  1

掃き出すと次のようになります。

1  0   1  -1
0  1  -1   2

左が単位行列になったので、右半分が逆行列です。 A-1 = [[1, -1], [-1, 2]] と求まります。

左半分が単位行列にならなかった場合、その行列に逆行列は存在しません。 n次の正方行列でランクが n 未満のとき(行列式が0のとき)がこれにあたります。

ランクから解の個数を判定する

係数行列を A、拡大係数行列を [A|b]、未知数の個数を n とすると、次のように判定できます。

条件解
rank(A) = rank([A|b]) = nただ1つに定まる
rank(A) = rank([A|b]) < n無数にある(不定)。自由度は n − rank
rank(A) < rank([A|b])解なし(不能)

このツールが表示するランクは、入力した行列そのもののランクです。 拡大係数行列 [A|b] を入れれば rank([A|b]) が出ます。 rank(A) と比べたい場合は、右辺の列を除いた A だけをもう一度入力してください。

解なしの見分け方

たとえば x + y = 1 と x + y = 2 を2行3列で入力すると、次の形になります。

1  1  0
0  0  1

2行目は「0x + 0y = 1」を意味しており、成り立ちません。 このように左側がすべて0なのに右端だけ0でない行が出たら、解なしです。

よくある間違い

よくある質問

Q. 正方行列でなくても使えますか?
A. 使えます。行数と列数は8までなら自由に指定できます。 連立一次方程式の拡大係数行列や、逆行列を求めるための横長の行列も扱えます。

Q. 分数はどう入力しますか?
A. 2/3 のようにスラッシュで入力します。 -1.5 のような小数も入力でき、内部では分数に直して計算されます。 「分数で表示」のチェックを外すと小数表示に切り替わりますが、 計算そのものは常に分数のまま行われます。

Q. ランクだけを知りたいときは?
A. 行列をそのまま入力して掃き出すだけです。 結果の下に「行列のランク」が表示されます。

Q. 途中の行列だけを見たいのですが。
A. 各ステップに操作の内容(R2 ← R2 - 3 × R1 など)と、 その直後の行列が並びます。上から順に追えば、手計算の答え合わせに使えます。

Q. 逆行列が求まらない行列があります。
A. 左半分が単位行列にならない場合、その行列に逆行列は存在しません。 ランクが次数より小さい(行列式が0)ことを意味します。