固有値・固有ベクトルの計算

正方行列の固有値と固有ベクトルを、途中式つきで求める無料ツールです。 特性方程式 det(A − λE) = 0 の展開から、因数分解、 掃き出し法による固有ベクトルの導出までを1手ずつ表示します。 計算はすべて分数のまま行うため、丸め誤差は発生しません。

各マスには整数・小数・分数が入力できます(例:3、-1.5、2/3)。

固有値・固有ベクトルとは

正方行列 A に対して、あるスカラー λ と 零ベクトルでないベクトル x が

A x = λ x

を満たすとき、λ を A の固有値、 x を λ に対する固有ベクトルといいます。 「行列を掛けても向きが変わらず、長さだけが λ 倍になるベクトル」と考えると分かりやすいです。

求め方の手順

1. 特性方程式を立てる

A x = λ x を移項すると (A − λE) x = 0 となります。 x が零ベクトル以外にも存在するためには、A − λE が逆行列を持ってはいけません。 つまり行列式が0になる必要があり、ここから

det(A − λE) = 0

という λ についての方程式が得られます。これを特性方程式(固有方程式)と呼びます。 n次の正方行列なら、λ についてn次の方程式になります。

2. 特性方程式を解いて固有値を求める

因数分解や解の公式で λ を求めます。この解が固有値です。 重解になることもあり、その重なりの回数を代数的重複度といいます。

3. 各固有値について固有ベクトルを求める

求めた λ を (A − λE) x = 0 に代入し、 この同次連立方程式を掃き出し法で解きます。 解は必ず無数にあるので、自由変数を使って基本となるベクトル(基底)の形で表します。 この基底の本数を幾何的重複度といいます。

対角化できるかの判定

n次の行列 A が対角化可能であるのは、 すべての固有値について、幾何的重複度の合計が n に一致するときです。 言いかえると、一次独立な固有ベクトルを n 本そろえられるときです。

状況 対角化 補足
固有値がすべて相異なるできる重複度がすべて1なので必ず対角化可能
重解があり、幾何的重複度=代数的重複度できる足りる本数の固有ベクトルが取れる
重解があり、幾何的重複度<代数的重複度できない固有ベクトルが不足する。ジョルダン標準形を使う
実対称行列できる直交行列で対角化できることが知られています

検算のしかた

求めた固有値と固有ベクトルが正しいかは、次の2つで確かめられます。

このツールでは、固有値の和と積がトレース・行列式と一致しているかを自動で確認し、結果に表示します。

よくある質問

Q. 固有値が無理数や複素数になりました。固有ベクトルは出ませんか?
A. 固有値そのものは (p ± √D) / q のような正確な形で表示します。 ただし固有ベクトルについては、分数のまま厳密に計算できるのは固有値が有理数のときに限られるため、 無理数・複素数の固有値では固有ベクトルの導出を行いません。

Q. 固有ベクトルは何倍しても固有ベクトルですか?
A. そのとおりです。x が固有ベクトルなら、0でない定数倍もすべて固有ベクトルになります。 このツールでは、成分がなるべく簡単な整数になる形で表示しています。 教科書と見た目が違っても、定数倍の関係になっていれば同じ答えです。

Q. 零ベクトルは固有ベクトルに入りますか?
A. 入りません。A·0 = λ·0 はどんな λ でも成り立ってしまい、固有値が定まらないためです。

Q. 何次まで計算できますか?
A. 2次から4次までに対応しています。