このツールでできること
貯めた資産を取り崩しながら暮らすと、何歳まで持つのか。 その答えは1つに決まりません。運用結果によって大きく変わるからです。 このツールは、期待リターンとリスク(標準偏差)から 1000通りの将来を作り、そのうち何回で資産が尽きたかを 確率として出します。
- 資産が尽きる確率と、尽きた場合の年齢の目安
- 資産推移の帯(中央値と上下の幅)
- 定額・定率・4%ルールを同じ条件で比較
- 年金などの収入、インフレ率も反映できます
なぜ「平均◯%で回るから大丈夫」が通じないのか
積立と取り崩しでは、相場の下落の意味がまったく違います。
積立の時期に暴落が来ても、同じ金額でより多く買えるため、 長い目で見れば不利とは限りません。 ところが取り崩しの時期に暴落が来ると、減った資産から生活費を抜くことになります。 売った分は二度と回復に参加しません。
そのため、平均リターンが同じでも、下落が起きた順番によって結果が大きく変わります。 これを収益率配列リスク(sequence of returns risk)と呼びます。 最初の数年が悪いだけで、同じ平均リターンでも資産が尽きてしまうことがあります。
「毎年5%で回るから4%取り崩しても減らない」という計算は、 この順番の影響をまったく見ていません。 取り崩しを確率で捉える必要があるのは、このためです。
3つの取り崩し方の違い
| 方式 | 取り崩し額 | 長所 | 短所 |
|---|---|---|---|
| 定額 | 毎月きまった額 | 生活の計画が立てやすい | 下落時も同じ額を売るため、尽きる危険がいちばん高い |
| 定率 | 毎年、残高の一定割合 | 残高が減れば取り崩し額も減るため、理屈のうえでは尽きない | 受け取れる額が相場に左右され、生活費が読めない |
| 4%ルール | 初年度に資産の4%、以降は物価スライド | 受取額が実質的に一定に保たれる | 残高が減っても取り崩し額が下がらないため、尽きることがある |
上の「3つの方式を同じ条件で比べる」の表を見ると、 定率は尽きる確率が低い代わりに、取り崩した総額も少なくなりがち であることが分かります。 安全さと受取額は交換関係にあり、どちらかが一方的に優れているわけではありません。
4%ルールをそのまま使ってよいのか
4%ルールは、1990年代に米国の過去データを使って提唱された経験則です。 「引退時の資産の4%を初年度に取り崩し、以降は物価上昇に合わせて増やしていけば、 30年間は尽きなかった」という調査が元になっています。
覚えておきたい前提が3つあります。
- 米国株と米国債の過去実績が前提です。ほかの国や、別の資産配分ではそのまま当てはまりません
- 30年間という期間が前提です。50代で引退して40年以上使うなら、条件が変わります
- 税金と手数料は考慮されていません。日本の課税口座なら利益に約20%かかります
このツールで期待リターンやリスク、期間を変えてみると、 4%という数字が条件次第で安全にも危険にもなることが分かります。 数字をそのまま信じるのではなく、自分の条件で確かめるための道具として使ってください。
結果の読み方
| 項目 | 意味 |
|---|---|
| 尽きる確率 | 1000通りのうち、期間の途中で目標額を取り崩せなくなった割合 |
| 取り崩した総額 | 期間を通じて資産から受け取れた合計。方式を比べるときの物差しになります |
| 最終年の月額 | 最後の年に取り崩していた月額。定率では相場次第でこれが大きく減ります |
| 下位5%の線 | 運が悪かった場合の姿。ここが早い段階で0に触れるなら、条件を見直すべきです |
中央値だけを見て安心しないでください。 中央値は「半分はこれより悪くなる」という値でもあります。
尽きる確率を下げるには
- 取り崩し額を下げる— もっとも効果が大きい調整です
- 取り崩しの開始を遅らせる— 運用期間が延び、必要な年数も減ります
- 年金などの収入を織り込む— 資産から出す額が減るため、確率は大きく下がります
- 下落時だけ取り崩しを減らす— 定率に近い運用をすると、尽きる危険を抑えられます
- リスクを下げる— ただし期待リターンも下がるため、必ず改善するとは限りません。両方を変えて試してください
このシミュレーションの前提と限界
数字を正しく受け取るために、何を計算していないかを明記します。
| 前提 | 影響 |
|---|---|
| リターンが正規分布に従うと仮定 | 現実の暴落は正規分布より深く、頻度も高めです。尽きる確率はやや小さめに出ます |
| 試行は1000通り | 確率は実行のたびに1%前後ぶれます。0.1%単位の差に意味はありません |
| 税金・手数料・信託報酬を引いていない | 実際の手取りはこれより小さくなります。課税口座なら利益に約20%かかります |
| 資産配分は期間を通じて一定 | 年齢とともに保守的にしていく運用は再現していません |
| 取り崩しは毎月初に行う | 年1回まとめて取り崩す場合とは、わずかに結果が変わります |
| 収入は名目で固定 | 年金額が物価に完全には連動しない点は再現していません。実際には実質的な価値が目減りする可能性があります |
| 表示はすべて名目値 | 物価が上がれば、同じ金額で買えるものは減ります |
よくある質問
Q. 実行するたびに確率が少し変わります。
A. 乱数で1000通りの将来を作り直しているためです。
1%前後のぶれは正常で、これは「将来が1つに決まらない」ことがそのまま出ている状態です。
大きな傾向を読むために使ってください。
Q. 尽きる確率は何%までなら安心ですか?
A. 一律の基準はありませんが、一般に5%以下なら余裕がある、20%を超えると条件の見直しが必要と考えられることが多いです。
ただしこのツールは正規分布を仮定しており、現実の暴落はそれより厳しくなりがちなので、
表示される確率は楽観寄りと考えて余裕を持たせてください。
Q. 定率なのに尽きる確率が0%にならないことがあります。
A. 年金などの収入を設定していない場合、定率では残高に比例して取り崩すため、
理屈のうえでは資産は0になりません。表示が0%にならない場合は、
入力した取り崩し率が極端に高いか、期間が非常に長い可能性があります。
Q. インフレはどう扱われていますか?
A. 「物価スライドする」を選んだ定額と、4%ルールでは、
取り崩し額が毎年インフレ率の分だけ増えていきます。
実質的な価値で結果を見たい場合は、期待リターンから想定インフレ率を引いた値を入れて、
インフレ率を0にすると近い形になります。
Q. 積立の段階から計算したいのですが。
A. 積立シミュレーションをお使いください。
そこで求めた資産額を、このツールの「取り崩し開始時の資産」に入れると、
貯める段階から使う段階までつながります。
Q. 入力した内容は保存されますか?
A. お使いのブラウザに保存され、次に開いたときに復元されます。
サーバーに送信されることはありません。
免責事項
本ツールは資産の取り崩しを試算するための計算ツールであり、 特定の金融商品の取得・売却や、特定の取り崩し方をすすめるものではありません。 入力する期待リターン・リスクは仮定値であり、将来の運用成果を示すものでも保証するものでもありません。 表示される金額は税金・手数料・信託報酬を考慮していない名目値です。 実際の資産計画は、ご自身の状況に応じてご判断ください。