このツールでできること
退職金や相続、貯めていた預金など、まとまった資金ができたときに迷うのが、 一度に全部投資するか、何回かに分けて投資するかです。
このツールは、期待リターンとリスクから1000通りの相場を作り、 まったく同じ相場に対して一括と積立の両方を当てて比べます。 出るのは「どちらが得か」という断定ではなく、 どちらがどれくらいの確率で勝つのかという分布です。
毎月の収入から積み立てている方には、この比較は当てはまりません。 手元にまとまった資金がない以上、一括という選択肢がそもそも存在しないためです。 その場合は積立シミュレーションをお使いください。
結論から言うと、期待値では一括が有利になりやすい
理由は単純です。相場は長い目で見れば上がっている時間のほうが長いという前提を置くなら、 資金を早く市場に入れたほうが、その上昇に参加できる期間が長くなります。
分けて投資している間、まだ投資していない資金は現金のまま置かれています。 その間、その資金はほとんど増えません。 分ける期間が長いほど、この「待っている資金」の影響が大きくなります。
上の比較表で分割期間を変えてみると、 期間が長くなるほど一括の勝率が上がっていくことが確認できます。
それでも積立が選ばれる理由
勝率だけを見れば一括が有利です。しかし、それは平均の話です。
投資した直後に暴落が起きた場合、一括では資金の全額がその下落を受けます。 分けて投資していれば、下落した後の安い価格でも買えるため、傷は浅くなります。 結果の表で「下位5%」を見比べてください。 運が悪かった場合の金額は、分けたほうが大きくなることが多いはずです。
| 一括投資 | 積立(分割)投資 | |
|---|---|---|
| 期待値(中央値) | 高くなりやすい | 低くなりやすい |
| 下振れしたとき | 落ち込みが大きい | 落ち込みが小さい |
| 結果のばらつき | 大きい | 小さい |
| 投資直後の暴落 | 全額が影響を受ける | 一部で済む |
つまり、ドルコスト平均法(分割投資)はリターンを上げる手法ではなく、 結果のばらつきを抑える手法です。 「積立のほうが儲かる」という説明を見かけたら、注意してください。 期待値を上げるのではなく、当たり外れの幅を狭めるのが本来の役割です。
どちらを選ぶかの考え方
- 数字だけで選ぶなら一括— 期待値が高く、勝つ確率も高くなります
- 投資直後の暴落に耐えられないなら分割— 半値になっても続けられるかを想像してください。続けられないなら、期待値が高くても意味がありません
- 迷うなら期間を短めに— 3〜12か月程度に分ければ、待機資金の損失を抑えつつ、投入時期の偏りも減らせます
- 資金の性格で決める— 数年以内に使う予定があるお金は、そもそも投資に向きません
最も避けたいのは、一括で投資して暴落に耐えられず、底で売ってしまうことです。 期待値の高さは、続けられて初めて意味を持ちます。 自分が耐えられる範囲を選ぶことのほうが、数%の期待値の差より重要です。
結果の読み方
| 項目 | 意味 |
|---|---|
| 一括が勝つ確率 | 1000通りのうち、一括の最終資産が積立を上回った割合 |
| 中央値 | ちょうど真ん中の結果。もっともありがちな姿 |
| 上位5% | 相場が非常に良かった場合。一括のほうが大きく伸びます |
| 下位5% | 運が悪かった場合。ここが判断の分かれ目です |
| 一括との差 | 一括から積立を引いた金額の中央値。プラスなら一括が有利 |
このシミュレーションの前提と限界
| 前提 | 影響 |
|---|---|
| リターンが正規分布に従うと仮定 | 現実の暴落は正規分布より深く、頻度も高めです。一括の下振れは実際にはもっと厳しくなり得ます |
| 相場の上下に規則性がないと仮定 | 「下がった後は戻りやすい」といった性質は再現していません。実際にそうした性質があるなら、分割投資はここでの計算より有利になります |
| 試行は1000通り | 勝率は実行のたびに1%前後ぶれます |
| 税金・手数料・信託報酬を引いていない | 実際の手取りはこれより小さくなります |
| 待機資金は指定の利率で増える | 普通預金なら実質ほぼ0%です。定期預金などを使う場合はその利率を入れてください |
| 表示はすべて名目値 | インフレを考慮していません。物価が上がれば実質的な価値は下がります |
よくある質問
Q. 結局どちらが正解ですか?
A. 期待値では一括が有利になりやすい、というのが計算上の答えです。
ただしこれは平均の話で、下振れしたときの痛みは一括のほうが大きくなります。
自分が耐えられるかどうかで決めるべき問題であり、数字だけで一方に決まるものではありません。
Q. ドルコスト平均法は儲かる手法ではないのですか?
A. 期待リターンを上げる手法ではありません。結果のばらつきを抑える手法です。
価格が下がったときに多く買えるという説明は正しいのですが、
その分だけ上昇局面に参加できる資金が減るため、期待値としては相殺されます。
Q. 何か月に分けるのが良いですか?
A. 一律の正解はありません。上の比較表で3・6・12・24・36・60か月を並べて表示しているので、
勝率と下位5%の両方を見比べてください。
期間が長いほど下振れは小さくなりますが、中央値では一括に差をつけられます。
Q. 待機資金の利率は何を入れればよいですか?
A. 普通預金に置くなら0.1%前後、あるいは0%でも結果は大きく変わりません。
定期預金や個人向け国債など、利率の高い置き場所を使う場合はその値を入れてください。
待機資金の利率が高いほど、分割投資が不利になりにくくなります。
Q. 投資した後の取り崩しも計算したいのですが。
A. 取り崩しシミュレーションをお使いください。
このツールで求めた最終資産を、そちらの「取り崩し開始時の資産」に入れると続けて計算できます。
Q. 入力した内容は保存されますか?
A. お使いのブラウザに保存され、次に開いたときに復元されます。
サーバーに送信されることはありません。
免責事項
本ツールは投資方法の違いを試算するための計算ツールであり、 特定の金融商品の取得・売却や、特定の投資方法をすすめるものではありません。 入力する期待リターン・リスクは仮定値であり、将来の運用成果を示すものでも保証するものでもありません。 表示される金額は税金・手数料・信託報酬・インフレを考慮していない名目値です。 投資の判断はご自身の責任で行ってください。